――宮園ましろと、柿崎真白。
全く似たところのない『二人のマシロ』との出会いが、僕の平凡な日々を変えて行く。

「はぁーっ」

吐き出した真っ白い息が、広がって消えてゆく。

「今日も寒いねっ」

隣を歩いていた真白（ましろ）が、にっこりと嬉しそうに言った。
朝日を浴びてきらめく純白の雪にも劣らない、輝くような笑顔。

僕はいつものようにバタつきながら真白と共にマンションをまろび出て新雪に覆われた通学路を歩き、ギリギリよりも少し手前の時間で教室へと滑り込んだ。
･･････ここまでは普段通りだった。
異変が訪れたのは朝のホームルームが始まった時だ。

「･･････宮園、ましろ」

担任に自己紹介を促された転校生の少女がぽつりと言った。
そんなまさか、と自身の目を疑う。
けれど人違いとも思えない。
その転校生は僕が一昨日助けた、『ゆきんこ』に違いなかった。
あの少女のことを、たった2日で忘れられるわけがない。
雪の中に埋まっていた小柄な少女のことを――。
･･････だけど･･････。

「時也くん、あの子と･･････知り合いなの？」

「いや、まぁ。その、ヤキイモを」

「･･････やきいも･･････？？？」

頭の上に特大のクエスチョンマークを浮かべつつ真白が小首を傾げる。

――1月。
1年のうちで最も寒く、最も雪深き、この真白(マシロ)な季節に僕らは出会った――

ヒロイン

宮園 ましろ　（CV：北都南）
口数少ない転入生。背丈は小さいが、不思議な存在感を持った少女。
まだお互いの名前を知らなかったとき、
主人公は心の中で彼女のことを『ゆきんこ』と呼んでいた。
雪の街で出会ったときは『内気そうだが、素直そうな子』
というのが主人公の第一印象だったのだが、
転校してきたときには固く心を閉ざして周囲を拒絶する姿がそこにはあった。
……どちらが本当の彼女の姿なのだろうか……？

柿崎 真白　（CV：佐本二厘）
200ワット電球のごとく輝く笑顔を持つ少女。
その明るい笑顔でクラスでの人気も高い。
主人公の親戚で、柿崎家の次女。従妹であり、幼馴染でもあり、クラスメイトでもある。
柿崎家では家事を担っており、主人公らの身の回りの世話もしてくれる……が、
朝には極端に弱く、寝起きがすこぶる悪い。
家事が得意な上に世話焼きで、甲斐甲斐しく身の回りの世話をしてくれる。
普段はしっかりしているようにみえるが、家では案外うかつでドジ。
学園最後の聖域『新体操部』に所属しているが、
その活動内容は謎と言う名の神秘のベールに隠されているとかいないとか。

美里 美久　（CV：桜川未央）
何処か浮世離れした不思議な雰囲気の先輩。
長髪の美人だが、いつもぼんやりしている。
以前、主人公との間に『妙な噂』が立ったことがあるらしいが……。
「忘れました」と「うそです」が口癖で、中々本当のことを語ろうとはしない。
忘れっぽい性格でもあるので、どこまでがウソでどこからが本当なのかは誰にも判らない。
雲を掴むような性格の少女。
食欲旺盛で、その食事量は生半可ではない。会ったときは常に何か食べているほどである。
もうじき受験のはずなのだが、何故か校舎をヒマそうにふらふらしている。

白石 由佳菜　（CV：安玖深音）
真白の後輩で、新体操部所属の少女。
何故か主人公を目の敵にしており、「IP（あいぴー）」が溜まったと言っては
何かと攻撃を仕掛けてくる。
IPとはインターネットプロトコルではなく、「怒りポイント」の略らしい。
主人公の前では何故か空回りして普段の冷静さは微塵も見えず、
単なる子供になってしまっているが、本来は委員長気質のきちっとした性格。
何処か古風で融通が利かないところもあり、何かと口うるさい。
実は先輩である真白よりもしっかりしているのかもしれない。

柿崎 藍理　（CV：海原エレナ）
主人公の母親の姉の、娘。
主人公が子供の頃は『藍理姉ちゃん』と呼んでいたらしい。
唐突かつ強引な性格だが、人を惹きつける人柄のせいか周囲の人々の助力を得られることが多い。
主人公のことは弟のように思っていて、可愛がろうとする（子供扱い）。
ナイスバディの持ち主で、薄着でマンションを徘徊したりするのに、
干してある下着を見られるのはイヤという良く判らない基準を持っている。
妹のことは溺愛しており、時に親のようであり、親友のようでもある。
生活能力は低く、料理も苦手(作るには作れるが、味の保証は無い。
真白が料理を覚えたのは自分のためでもあるのかもしれない)。
現在、イタリアンレストランでウェイトレスとして働いている。

宮園 柚姫　（CV：Ha☆chi）
宮園ましろの妹。
大人しげで口数は少ないものの、
態度も丁寧でましろよりは社交性があるように見える。
姉であるましろをいつも気にかけている様子で、
色々と世話も焼いたりしているらしい。姉思いの妹。
宮園家は家族間の仲が悪いのだが、自分は姉の唯一の味方であると語る。
何を考えているのかよく判らない節もあり、何処かミステリアス。
ちょっとした言葉尻を捕らえては悪い方へと解釈する困ったクセが珠に瑕でもある。
ましろは彼女が苦手であるらしくあまり会いたがらない。